今日は英検1級のライティング「意見論述問題」について解説していきます。この記事では、採点基準や、それぞれの段落のポイント、そして、実際に「意見論述問題」を解き、それを添削したものをご覧いただけます。
英検1級「「意見論述問題」」の採点基準
まず、英検1級ライティングセクションの採点基準を確認します。このセクションは素点32点満点で、以下の4つの観点から成り立っています。
英検1級1次試験突破のためには、その採点方式のために実施回によりバラつきはありますが、最低でも32点満点中24点、つまり7割強を取ることが必要と言われています。そのためには、自分のライティングにおける課題点を特定し、その克服のための練習をすることが必要となるのです。
ライティングで求められている構成と語数
次に、英検1級ライティングで求められている構成と、おすすめの語数を簡単ご紹介します。
第1段落(序論):
過去の模範解答を分析すると、英検1級ではイントロを少し丁寧に作り上げることを求められることがわかります。具体的には、一般論から入り、自分の立場とキーアイディア(理由)を3つ句でまとめるなどの工夫が求められています。よって目安の語数は50語となります。
テンプレの例:It is often pointed out~. Personally, I believe that ~.
第2~4段落(本論):
それぞれ1文目でキーアイディアを簡潔に示し、2文目以降でそれをサポートする情報を提供します。サポートする際には、具体例・因果関係の提示が有効です。1文を書き終えるごとに、「例えば?」「つまり?」「なぜそうなる?」「だからなに?」とツッコミを入れながら展開するよう心がけましょう。語数は、各段落50語前後になるようにします。
第5段落(結論):
メインボディで述べた3つのキーアイディアを句でまとめて、イントロで述べた自分の立論を再度述べます。この時、イントロで使った表現は言い換えて使うことが、高得点獲得のためにはほぼマストとなります。目安の語数は20語です。
テンプレの例:In conclusion, given the three reasons mentioned above, A, B, C, I believe~.
ライティングに使いやすい構文
①名詞構文
- The government’s implementation of strict emission regulations has led to a significant reduction in air pollution levels across the country. (政府の厳格な排出規制の実施により、国全体で大幅な大気汚染レベルの低下がもたらされています。)
- The company’s decision to allocate a larger budget for research and development reflects its commitment to innovation and staying ahead of competitors in the market. (企業が研究開発により多額の予算を割り当てる決定は、市場での競争相手に先んじてイノベーションを行う意志を示しています。)
②付帯状況の分詞構文
例)”Using sustainable farming practices could enhance soil health and fertility, potentially leading to increased crop yields and better environmental conservation.”
③因果表現
例1)”Cultivating organic produce may enhance nutritional value and minimize exposure to harmful chemicals, ultimately promoting healthier lifestyles and well-being.”
以上が、英検1級ライティングの採点基準と構成になります。この試験の全体像がわかったところで、実際にどのような英語を書けばいいのかをより具体的に見ていきましょう。次のセクションでは、実際の受講生の答案をもとに、Libartsではどのような添削を行っているのかをご紹介します!
【英検1級】2023年度第3回実際の答案と添削例
- Write an essay on the given TOPIC.
- Give THREE reasons to support your answer.
- Structure: introduction, main body, and conclusion
- Suggested length: 200-240 words
- Write your essay in the space provided on Side B on your answer sheet. Any writing outside the space will not be granted.
TOPIC
Should science be relied on to solve humankind’s problems?(2023年度第3回)
【受講生原文】
Nowadays, there have been a lot of social issues around the globe and we should continuously grapple with them. I strongly believe that science should be relied on to solve humankind’s problems for the following three reasons: it can contribute to further advancements in medical fields, stable food supply, and tackling environmental issues.
First, there are plenty of people suffering from life-threatening diseases such as cancer. However, if medical fields could be advanced by science and gene therapy, Induced Pluripotent Stem cells, or iPS cells, could result in enhanced quality of life and longevity ultimately.
Second, the United Nations mentioned that the world’s population has reached 8 billion and will continue to grow. This could lead to significant food shortages in the future. However, if gene modification techniques could make crops and livestock overcome pests or other serious diseases, food quality and supply could be improved, and ultimately, these could contribute to a better quality of lives.Third, global warming and other environmental issues have been happening for decades and some people argue that these may make our planet uninhabitable. Despite these predicaments, if we can invent more environmentally friendly renewable resources or production machines or offset CO2 emissions, we could live on our planet sustainably.
In conclusion, a continuous reliance on science is essential for our enhanced quality of life and sustainable prosperity.
論理的に構成されており、英検1級のライティングの採点基準に沿った序論、本論、結論が展開されています。各段落が適切なトピックセンテンスで始まり、その後にサポートの意見が明確に述べられています。総合評価はAです。
文法語法: 7/8点
内容: 7/8点
論理構成: 8/8点
語彙の豊富さ: 7/8点
総合評価 A
合計点29/ 32点
【修正案】
Nowadays, there are many social issues around the globe, and we should continuously engage with them. I strongly believe that science is a reliable tool to solve humankind’s problems for three main reasons: it can contribute to further advancements in the medical field, ensure a stable food supply, and assist in tackling environmental issues.
First, numerous people are suffering from life-threatening diseases such as cancer. However, if the medical field advances through science, including gene therapy and Induced Pluripotent Stem cells (iPS cells), it could ultimately enhance the quality of life and longevity.
Second, the United Nations has mentioned that the world’s population has reached 8 billion and will continue to grow. This could lead to significant food shortages in the future. However, if gene modification techniques are applied to crops and livestock to overcome pests or other serious diseases, this could improve food quality and supply, ultimately contributing to a better quality of life.Third, global warming and other environmental issues have been happening for decades, and some people argue that these may make our planet uninhabitable. Despite these challenges, the development of more environmentally friendly renewable resources, innovative production machines, or methods to offset CO2 emissions can ensure we live on our planet sustainably.
In conclusion, a continuous reliance on science is essential for our enhanced quality of life and sustainable prosperity.
【添削コメント】
1 “there have been”を”there are”とすると自然です。
2 “continuously grapple with them”を”continuously engage with them”と表現することもできます。元の英語でも問題はありません。
3 “science should be relied on”を”science is a reliable tool”とパラフレーズで書けると英検1級でも高評価です。
4 “in medical fields”は”in the medical field”とするとより正確です。
5 “stable food supply”の前に”ensure”を入れると意味が明確になります。canの後の動詞の並列なので、動詞の原形でOKです。
6 itが主語だったので、”tackling environmental issues”を”assist in tackling environmental issues”とすると流れがスムーズです。コロケーション自体は自然なので、このような表現ストックを増やしていきましょう。
7 “there are plenty of people”を”numerous people”と表現すると洗練されます。
8 “if medical fields could be advanced”を”if the medical field advances”とすると自然です。advanceは自動詞なので、受動態ではなく能動態で使うとより適切です。
9 “could result in enhanced”を”could ultimately enhance”とするとより自然です。因果表現と一緒に使える副詞のコロケーションをストックしておきましょう。
10 “the United Nations mentioned”を”the United Nations has mentioned”と時制を現在完了にすると、現在にも影響を及ぼしているとわかり、より自然です。
11 “if gene modification techniques could make”を”if gene modification techniques are applied to”と表現すると明確になります。これは直説法で書くとよい理由として、現実的にあり得ることだからです。
12 “these could contribute to a better quality of lives”を”ultimately contributing to a better quality of life”とすると流れが良くなります。英検1級のライティングではこのような因果関係の分詞構文が活用できると構文のバリエーションがアピールできます。
13 “if we can invent more environmentally friendly renewable resources or production machines”とif節を使って表現するよりも、名詞構文のthe development of に続けた形で書く方がよりライティングにふさわしい文体になります。innovative production machinesとするほうがより文がなめらかにつながります。
14 文の修正案に合わせて、methods to offset CO2のように使うとより適切です。また、化学式としての二酸化炭素はCO2と記載します。ただし、減点されるほどではありません。CO2と書いても日常では問題はありません。
15 “can ensure we live on our planet sustainably”は、文の流れとして自然で、論点を効果的に強調しています。このensureの後にはthatが省略されています。語数に応じて、
16 最後の結論部分はうまく書けているので、非常に好印象な締め方です。
【まとめのコメントと次回の課題】
全体としてこの方のライティングの強みは論理構成です。議論の中身も有益なので、高得点が期待できます。一方、語彙のより適切な使い方や名詞構文、分詞構文の選択などについてはまだ改善点もあります。次回に向けては名詞構文や分詞構文など文体の豊富さがアピールできると満点解答に一歩近づきます。
Libartsライティング添削の特色
Libartsトップコーチの添削例
Libartsの添削では「ミスの指摘」だけではなく、次回に向けてどのような課題があるのかを明確にすることを重視しています。例えばOさんの場合、名詞構文や分詞構文という具体的な構文を意識的に取り入れる必要性があることをコメントしています。文体の癖と英検の採点基準の相性は、なかなか自分一人だと気付きにくいことがほとんどです。そこで、研究を重ねているプロのアドバイスを受けることにより、最短距離でライティングセクション高得点を目指すことができます!
*ちなみに、必要な構文・語彙が分かると、リーディングやリスニングの勉強の際にもそれらを「取り入れよう」という意識が芽生えるため、インプットの勉強もより深くできるようになるというメリットもあります。
②ただ直すのではない添削
Libartsのトップコーチの添削ではA評価やスコアリングなど、本番を想定した点数の可視化を行っている点にも特徴があります。スコアリングは、課題点を明確にできるだけでなく、勉強のモチベーションアップにも大きな効果を発揮します。毎回のアドバイスを丁寧に吸収していけば、確実にスコアが上がっていくので、挫折することなく勉強を継続できること間違いなしです!
Libartsの特徴
Libartsは「全部学べる」英語コーチングスクールです。スピーキングとライティングを同時に勉強することで、学習効果をあげることができます。
Libartsご利用者の声
Libartsでは現在無料カウンセリングを実施中です。ご興味ある方はぜひ下記ボタンから詳細をご確認ください。
Libarts教務主任:篠崎亮哉
TOEIC L&Rテスト990点満点取得。英検1級取得。東京大学大学院教育学研究科修士課程課程修了。専門は認知言語学、第二言語習得論、英語教育、特に文法教育。
現在は、同大学院博士課程にて研究を重ねつつ、都内私立中高一貫校英語科教員、予備
校講師、そしてLibarts講師として指導を続けている。
Libartsのコーチングでは、「どんな学習者も確実に目標達成に導くコーチング」をモットーにしている。
観点1:内容
課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか(8点満点)
観点2:構成
英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか(8点満点)
観点3:語彙
課題に相応しい語彙を正しく使えているか(8点満点)
観点4:文法
文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか(8点満点)
参考・注意点:https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016scoring_w_info.html