“理系”の受験生必見!英語を強みにしよう/ その勉強法とは

 この記事を読んでいる皆さんの多くは、大学の理系学部や学科を目指していると思います。なぜ理系を目指すようになったのですか。技術者になりたい、研究者になりたい、医療分野の仕事をしたい、理系科目が好きだから。理由は色々でしょうが、理系科目を得意科目にしたいというのは共通の思いでしょう。英語についても、英語力を上げれば将来役立つ、英語が好きだから、受験科目で有利になるなど、英語を得意科目にする動機はさまざまでしょうが、英語を強みにすることで世界は広がり、将来大きな力になることは間違いありません。ここでは、英語を強みにする意義、大学で強みをどう生かすか、英語の勉強法などについてお話します。

英語は世界の共通語

 「Youは何しに日本へ?」という番組を見たことがありますか。来日する外国人にインタビューして、その人が訪れる場所にテレビ局のスタッフが同行して取材する番組です。インタビューに応じるのはアメリカ、イギリスなどの英語圏の人だけではなく、スペイン、ブラジル、中国など非英語圏の人たちです。彼らのほとんどは即座に英語で受け答えをしています。ロシアと戦争状態にあるウクライナの市民は、母国語はウクライナ語、ロシア語であるにもかかわらず、実に上手に英語でインタビューに応じています。

 大学で仕事をしていた頃、シンポジウムや会議に参加するため、ベトナムや韓国の大学によく出かけました。そこで会う大学の先生はほとんど問題なく英語を話していました。私が指導したアジアからの留学生は皆英語が流暢でした。

 日本に目を向けると、多くのIT企業は外国人を積極的に雇用し、会社でのやり取りはすべて英語です。こうした状況をみると英語を世界の共通語とする流れは今後もますます加速するでしょう。皆さんが大学を卒業するころは、英語でコミュニケーションをとれることが、多くの企業で当たり前になているかもしれません。

 ちなみに世界の人口70億人の中で英語を実用的に話す人の数は17.5億人。その内訳をみると、英語ネイティブの人口は3.9億人、非ネイティブの人口は13.6億人で、これは英語ネイティブの数を大きく上回っています。

 英語によるコミュニケーションには、英語を聞く力、話す力が求められます。高校では読解だけでなく、リスニング力やスピーキング力を高めておくことも大切です。

グローバルな情報源としての英語

 私たちの生活や経済活動は、インターネットなしには考えられません。あらゆる情報がオンライン上にあふれ、私たちはそれを日々享受しています。その情報源は日本語だけではありません。さまざまな言語の情報が発信されていますが、英語の情報は他の言語を圧倒しています。ウェブサイトの言語別のランキングを見ると、英語が63%、次がロシア語7%、日本語はわずか2%弱です。世界で出版される専門的な書籍や雑誌、科学技術に関する論文も、英語によるものがダントツに多いです。日常生活を送る上では、日本語の情報で十分でしょうが、大学で勉強したり、社会に出たらそうはいきません。さまざまな場面で、高い英語力が必要とされます。英語で情報を得るためには、英語を正確にかつ迅速に理解しなければなりません。それには高校で英語の読解力を高めることが大いに役立ちます。

大学で英語の強みを生かす

 多くの大学が国際化を謳い、英語重視の教育方針を強く打ち出しています。留学生が増えるなか、多くの大学が英語による授業を開講しています。もちろん日本人学生も授業を受けることができます。当然質疑応答も英語で行われます。留学生と共に学び、彼らと英語でコミュニケーションをとることで英語学習への意欲がさらに高まります。

 授業は日本語で行われても、教科書は英語という場合もあります。大学院ではその傾向が強くなります。限られた時間でたくさんのページを読み、内容を理解しなくてはなりません。私も大学院に入ったとき、土質力学の英語の教科書を、毎日決まったページ数を繰り返し読むことを課しました。同じ専門用語が何回も出てくるので自然に覚えてしまいました。高校でも教科書を繰り返し読むことが英語の語感を高め、単語を自然に覚えることにつながります。

 理系学部では、学生は講義を受けるだけでなく4年生になると卒業研究も課されます。大学院に入ると研究に割く時間はさらに増えます。研究を進めるためには、日本語の論文だけでなく、英語の論文も読まなければなりません。世界で発表される学術論文の実に82%が英語で書かれています。日本語の論文はわずか4%です。自然科学の進歩は日進月歩です。その成果の多くは、英語の学術雑誌に発表されます。今どういう研究が行われているかを知り、それを自分の研究に生かすには英語の論文を読むことが必須です。

 研究成果は、国際シンポジウムや国際会議では当然英語で発表されます。学生や大学院生が発表する機会も増えています。私が勤務した学部は、韓国の大学と合同で定期的にシンポジウムを開催していました。学生や大学院生は必至になって原稿を作成し、発表の準備をしていました。大変な作業ではありますが、彼らにとっては貴重な経験となったに違いありません。 

 多くの大学が海外の大学と学術交流協定を結び、短期、長期の留学プログラムを学生に提供しています。その一つに海外の大学との単位互換の制度があります。交流協定を結んだ大学に1年間留学し、そこで取得した単位を自分の大学での単位とすることができる制度です。こうすることで、留年することなく4年で卒業することが可能になります。私が勤務した学部でも、毎年、学部や大学院の学生が、アメリカ、イギリス、ドイツなどの大学に留学しています。

 就職の時期になると学生はその準備で忙しくなります。企業や官庁の採用試験を受け、面接では専門分野での自分の強みをアピールすることになります。ただ就職試験では、専門分野の評価に加え、採用側は受験者の専門分野以外の強みを重視する傾向にあります。多くの企業が受験者の英語力、とりわけ英語によるコミュニケーション能力を求めています。専門分野の評価に大きな差がないとしたら、英語を得意とすることが成功へカギとなります。理系の専門性に英語の強みが加わると、社会に出てキャリアを伸ばす上で大きな力となるでしょう。

 先日の日曜日、勤務していた大学に出かけました。日曜日にもかかわらず、多くの学生が英語診断テストのTOEFL ITPを受けていました。新1年生は全員このテストを受けることが義務付けられています。このテストは、英語を読む、書く、聞く、話すの技能を診断するもので、英語圏の大学入学の英語の試験に使われます。高校時代から4技能を高めることがこのテストの高得点につながります。

英語を強みにする勉強法

教科書と参考書をバランスよく使う

 受験勉強には教科書を中心に勉強した方がいいのか、参考書を中心に勉強した方がいいのか? 結論から言いうと、教科書と参考書のそれぞれのメリットを生かしつつ、二つをバランスよく使うことが大切です。

 教科書の優れている理由の第一は、信頼性が高く、高校英語で習得すべき英文法や構文を網羅していることです。1冊作るのに膨大な時間と手間がかかっています。多くの大学や高校の先生が編集し、さらに英語のネイティブによってチェックされますから、英文の信頼性は非常に高いといえます。

 第二は、教科書が、様々な分野の話題を取り扱っていることです。英語を学ぶだけでなく、英語で文学、社会、歴史、科学技術などの世界に触れることができます。

 第三は、多機能をもつデジタル教科書が使えることです。数年前までは考えられないほどその内容は充実しています。単語帳、電子辞書、和訳、音声機能など、その機能は目を見張るものがあります。これを活用しない手はありません。これを賢く使うことで、時間を効率よく使って、最大限の学習効果をあげることが可能です。

 私が高校生だった頃は、わからない単語はすべて辞書を引いて調べていました。いくら時間があっても足りません。単語を調べるのが精いっぱいで本文の予習までは手が回りませんでした。高校を卒業する頃は、辞書がボロボロになっていました。

 参考書は目的に特化して作られていますから、自分の弱点を克服するのに大いに役立ちます。教科書とうまく組み合わせて活用すれば、参考書は英語力を高めるのに大きな力を発揮します。今使っている参考書があれば、それを最大限活用することです。新たな目標達成のために参考書が必要であれば、先生や専門家の意見を参考にしながら決めるのがいいでしょう。

英語回路を定着させる

 一生懸命勉強しているけど英語の成績がなかなか伸びない、と思っている人。それはなぜでしょうか。その最大の理由は、英語回路が定着していないからです。聞きなれない言葉でしょうが、一口でいうと英語のネイティブが話をするときの思考回路です。私たち日本人は日本語の思考回路で話しています。実は、この二つの回路に大きな違いがあるのです。例文で説明しましょう。

I saw the painting / (that) she had bought / at the auction in London.

(私は彼女がロンドンのオークションで買った絵を見た。)

I saw the painting. 私は絵を見た

  that she bought (どんな絵か?) 彼女が買った  

    at the auction in London. (どこで買ったのか?)ロンドンのオークションで

 英語のネイティブは、まず「私は絵を見た」と言った後に、「彼女が買った」、「ロンドンのオークションで」の順で思い浮かべてそれを口に出します。聞き手はこの順序で話されたことを理解し、話が終わった時点で内容を完全に理解しています。これに対し、日本人はこのような話し方をしません。言いたいことを一つのまとまりとして思い浮かべて、日本語の語順でそれを口に出します。「見た」という動詞が最後に来ますから、聞き手は、話が終わるまで何を言いたいのかがわからず、話が終わった時点ではじめて内容を完全に理解することになります。

 もう一つ例を示します。

Japanese citizens’ groups have encouraged people / across the country / to join an initiative / that helps feed children living in poverty.

(日本の市民団体が、日本各地の人たちに、貧困の中に暮らす子供たちに食事を提供する運動に加わるように呼びかけてきた。)  

Japanese citizens’ groups have encouraged people 日本の市民団体が人々に呼びかけてきた

  across the country (どんな人々か?) 日本各地の

    to join an initiative (何のために?) 運動に加わるように

      that helps feed children living in poverty (どんな運動か?)

         貧困の中に暮らす子供たちに食事を提供する

 以上に述べたように、英語のネイティブは、スラッシュで区切った適宜センテンス(意味のまとまり)を順番に思い浮かべて、前に発話した内容を説明していくように話します。このような道筋が英語回路です。英語ネイティブは成長の過程で自然にこれを身につけます。私たち日本人は彼らと同じ体験をすることはできません。しかし、この過程を意識的に学び、英語回路を獲得し、英語を能動的に使えるようにすることは可能です。学んだことを体に覚えさせるという意味で、これを「内在化」と言います。英語回路を内在化することで、英語を読む、書く、聞く、話すの英語力が飛躍的に高まります。次回からその具体的な勉強法についてお話します。

この記事の作成者
大坪政美

大学で35年間教育と研究に従事し、その間、英語による講義、留学生指導、英語論文の執筆、翻訳、国際交流など、英語に関係する業務に携わってきました。退職後、英語教授法のプログラム(カリフォルニア大学)と会議通訳者養成講座(全国学術会議通訳者連盟)を修了しました。そして社会人への資格試験(英検、TOIEC)の指導、中学生への英語指導を行ってきました。

・九州大学卒業
・同大学院修士課程修了
・農学博士
・35年間九州大学で教育研究に従事
・カナダマギル大学、イギリスウェルズ大学で研究に従事、ベトナム、インドネシアで  
 JICAプロジェクトに参加